その嘘に踊れ
「あまりにも状況が動かないから、アンタに画像を送りつけて揺さぶりをかけてやろうと思ってたの!
アタシたちは!
だけど… その直後に主導権が…」
「…
シズクに移った?」
「そうなの。
短期決戦に持ち込むから、クライアントとして画像を組織に叩きつけてやれって。
アオくんも、怒濤の展開に焦ったでショー?」
「…
(まぁ…そうね。
PCに画像が送信されてから、なんやかんやで丸一日も経たずに『←今ココ』だもんね…)」
「アタシたちも大変だったのよ!
オタは大急ぎで初音○ク号を仕上げなきゃだし、このコだって…
いや、それよりアタシね!
シズクに、『アオに纏わりつく暗殺者を私が始末するまで…貴様、わかっているな?』なんて言われちゃって!」
パチンコ屋から出たアンタを守ってたのよ、アタシ、そりゃ『Unnamed Children』に差し向けられる暗殺者なんて数も腕も知れてるし、シズクなら瞬殺なのはわかってたケド、それでもアタシは命懸けでクドクドクドクド…
ご褒美のキスへの期待なのか、なんなのか。
クドいほど自分の苦労を語るデイジー…ではなく、隣に大人しく座るスキンヘッドの『このコ』へ、アオは鋭い眼差しを向けていた。
『このコ』は…
どの場面で、ドコにいた?
爆破された資材置き場?
シズクと別れた警察署前?
オタが痛車で迎えにきた、駅のロータリー?
デイジーと走った商店街?
いったいドコに…
「まだ私がわからない?」
アオの視線に気づいて唇を綻ばせた『このコ』が、ココにきてやっと口を開いた。