その嘘に踊れ
『わからない?』って…
会ったコト、ありましたっけ?
「つれないわね。
あなたにもコーヒーぶっかけるわよ?」
…
あ─────!!??
会ったコト、ありましたネ!?
しかも結構頻繁に!?
『このコ』、アレだ!
大型パチンコ店の、ギャルギャルしたコーヒーレディだ!
「やっと気づいてくれた?
私はアノール、よろしくね。
ちなみに、この近くのパチンコ店でいつも会ってたオバサンも、私なのよ」
嘘ぉん!?
あの、人の良さそうなオバサン錬金術師も!?
いやいやいやいや…
コーヒーレディは20代前半。
ケバいクラブ経営者は、確か40代。
でもってオバサン錬金術師は、どー見ても50代後半でしたケド!?
化けるにも程じゃね!?
『アノール』…
なるほど、まさにカメレオン。
「あらら、黙り込んじゃった。
そんなにビックリするコトないわ。
女って、化粧ひとつでどんな風にでも変わるものよ」
「アンタのは化粧って言わないの。
特殊メイクレベルなの。
あんまり男の夢を壊すンじゃないわよ、この顔面詐欺師が」
表情を強張らせて口を閉ざしたアオを見て、アノールとデイジーが苦笑混じりに軽口を言い合った。