その嘘に踊れ

でもね?違うの。

お持ち帰りした女の風呂上がりの顔見て、心折れそーな男の心情になってンじゃねーの。

気がかりが解消されそうな予感で、ちょっと動揺してるだけなの!


「おまえが… アイツを連れ出したのか?」


滲み出そうになる歓喜を押し殺し、低い声でアオは訊ねた。

そう、まだ喜んじゃダメ。

アイツの…
連絡役のビジネスマン風『Unnamed Children』の、無事を確認するまでは。


「ふふ。
正解よ」


鷹揚に頷いて、アノールは微笑む。


「彼は今、都内のカプセルホテルで待機してるわ。
あなたを尾けてた他の『Unnamed Children』も一緒にね」


「別に監禁してるワケじゃないわよぉ?
サウナだってあるし、ネカフェよりは快適よ、きっと」


最後の補足は、デイジーくん。

コレは…

もう喜んでもいいンじゃね?

アイツは生きている。
消えたと聞かされていた仲間たちも生きている。

生きて、仲良くサウナで汗を流して…

コレもう、諸手を挙げて喜んでもいいンじゃねェェェェェ!?


「ありがとう!」


アオは勢いよくテーブルに身を乗り出し、アノールの手を取って握りしめた。

< 247 / 291 >

この作品をシェア

pagetop