その嘘に踊れ
でもね?違うの。
お持ち帰りした女の風呂上がりの顔見て、心折れそーな男の心情になってンじゃねーの。
気がかりが解消されそうな予感で、ちょっと動揺してるだけなの!
「おまえが… アイツを連れ出したのか?」
滲み出そうになる歓喜を押し殺し、低い声でアオは訊ねた。
そう、まだ喜んじゃダメ。
アイツの…
連絡役のビジネスマン風『Unnamed Children』の、無事を確認するまでは。
「ふふ。
正解よ」
鷹揚に頷いて、アノールは微笑む。
「彼は今、都内のカプセルホテルで待機してるわ。
あなたを尾けてた他の『Unnamed Children』も一緒にね」
「別に監禁してるワケじゃないわよぉ?
サウナだってあるし、ネカフェよりは快適よ、きっと」
最後の補足は、デイジーくん。
コレは…
もう喜んでもいいンじゃね?
アイツは生きている。
消えたと聞かされていた仲間たちも生きている。
生きて、仲良くサウナで汗を流して…
コレもう、諸手を挙げて喜んでもいいンじゃねェェェェェ!?
「ありがとう!」
アオは勢いよくテーブルに身を乗り出し、アノールの手を取って握りしめた。