その嘘に踊れ

ちょっとぉ、アタシはぁ?
とかなんとか、デイジーが頬を膨らませる。

あー…うん、え?うん…
とかなんとか、アノールがちょっと引いた顔をする。

でも、イイの。
嬉しいンだよ、まじで。


「ありがとう!
世話になったな!
ほんっと、ありがとう!!」


固く握った手をブンブン振って、感謝の言葉を繰り返すアオに…


「あー…ハイ、ハイ。

ね、彼、ちょっと変じゃない?
私たちって昔、こんなに感情的だった?」


曖昧に返事したアノールが、隣のデイジーにそっと囁いた。

それを聞いたデイジーの口角がニンマリと上がる。


「確かに変ねェ。
オタが駅に迎えに来た時も、アタシたちを巻き込まないよう自分だけ車に乗らなかったし。
『Unnamed Children』には、他人を気遣う余裕なんてないものなのにね」


「カプセルホテルに押し込んだヤツらも、変だったの。
国外に逃がしてやるって言ってンのに、『Sy-u800』の無事な顔見るまでドコにも行かないって言い張って…
シズクじゃあるまいし、『Unnamed Children』に慕われてる『Unnamed Children』なんてアリ?」


「要するに彼は規格外ってコトじゃない?
『Unnamed Children』でありながら人として誰かを思い遣れる、優し」


「認 め ん !」


ヒソヒソと交わされていたデイジーとアノールの会話を大声で遮ったのは…

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