その嘘に踊れ
オタくんデスネ。
ソーデスネ。
てか君、そんなにハッキリ喋れたのね。
その他三人の肩がビクリと揺れる。
ついでにアオの手がアノールの手から離れる。
「リア充め…
掲示板のストーカーはどーした?」
オタは長い前髪の奥からアオを睨みつけて言った。
アイスブルーの瞳がキョトンと見開かれ、それから、瞬き三回。
掲示板?
ストーカー?
…
あー…
あの、害虫か。
そう言えば、そうだ。
アレはなんだったンだ?
「あのゴキブリ騒ぎは、なんの仕込みだったンだ?」
オタとストーカーを華麗にスルーして、デイジーに向き直ったアオが訊ねた。
同じくオタとストーカーを華麗にスルーして、難しい顔で腕を組んだデイジーが答える。
「アレは仕込みなんかじゃなくて、正真正銘のハプニング。
ほんと参ったわぁ。
ゴキブリは退治しなきゃなンないわ、半狂乱のシズクを取り押さえなきゃなンないわ、その上パチンコ屋で張ってたアノールからアンタが帰るって連絡がきて、大慌てで隣人設定の打ち合わせをしなきゃなンないわで…」
「…
(なんつーか… お疲れ)」
「ちょっと!
シレっと『お疲れ』みたいな顔してるケド、アオくんのせいでもあるンだからネ!?」