その嘘に踊れ
あ、そう。
悪気ないこともないンだ?
つまりあるンだ?
なんで悪気を向けられるハメになってンだ?
「どーゆーコトだ?
あのストーカー、やっぱり関係者だったのか?
なら、病院送りにしてすまなかったな」
アオはさほど申し訳なさそうでもなく、頭を掻きながら一応の謝罪を口にした。
うん。
ほんとは『すまなかった』なんて思ってない。
関係者だろうがそうじゃなかろうが、シズクをストーキングするとかまじ万死だし。
「違う、違う。
関係者なんかじゃないわ。
まぁ、巻き込んじゃったって意味では、あのストーカーに謝んなきゃなンないのはアタシたちのほうなのよ」
デイジーもさほど申し訳なさそうでもなく、顔の前でヒラヒラと手を振って言った。
「アイツは、数年前から『芦原透子』をストーキングしてたみたいね。
アタシたちがシズクを見つけた時、その存在にも気づいて忠告したンだケド…
あのコもとっくに知ってたみたい」
「え!?
なんか被害があったって!?」
「いやいや、そんなコトは全くなく…
『放っておけ
あんな羽虫、邪魔になればいつでも潰せる』
ですって。
それで放置されてたのを、オタが使ったのよ。
アオくんを試すためにね」
「は?俺を試す?」
「『使えないヤツ』とか『冷酷なヤツ』とか…
そーゆー粗探しをしたかったンでショ。
気にするコトないわ。
オタは、ただただアンタが嫌いなだけだから」