その嘘に踊れ
「おまえらには本当に感謝してる。
だが仲間になるって話は、ちょっと考えさせてくれ」
「イイわよぉ。
納得いくまでゆっくり考えて?
それと、シズクはきっと屋上よ」
夜明け前のまだ暗い空に銀の髪を靡かせ、開いたドアからアオが消える。
「聞いたぁ?今の。
あのシズクが、普通の女のコですって!
恋は盲目って本当なのねェ」
レバーハンドルが上がって完全にドアが閉まるのを確認してから、デイジーは恋バナのノリでキャっキャとアノールに話しかけた。
「アタシ!断然!応援しちゃう!
アオくんとシズクの、恋のキューピッドに立候補しちゃう♪♪♪」
コワい、コワい。
三つ並んだ『♪』がコワい。
マッチョでオネェのキューピッドは、もっとコワい。
「そんなコト言って…
オタやみんなに恨まれるわよ?」
あらら。
アノールさんは至って冷静デスネ。
身体を捻って後ろの棚にあったカティサークのボトルを取り、グラスにも注がず直に一口呷ってデイジーに手渡す。
ソレを受け取って…
「そうね。
でも、メリットが大きいから」
やはりボトルから直接琥珀色の液体を呷り、デイジーは唇を歪めて笑った。
あらら。
コッチも冷静デシタカ。