その嘘に踊れ
騙したはずが騙されてマシタ、とかもう、ね。
撃沈。
「俺もう、シズクには嘘つかない…」
「それがイイと思う。
私に嘘つくとか、百年早い」
「むぅぅ…」
アオが、眉尻を下げたショボン顔でシズクに目をやると…
彼女は白い歯を見せ、悪戯そうにニヒヒと笑っていた。
ハイ、クソかわ。
それだけで、ドッチがドッチを踊らせてるとか、どうでもよくなる。
そもそも最初っから、君の表情ひとつで、君の言葉ひとつで、君の吐息ひとつで、俺は全力で踊り狂ってたワケだしね。
それはこれからも、きっと変わらない。
「ね、シズク。
シズクは… デイジーたちの仲間なの?」
緩みがちな頬を引き締め、アオはシズクの瞳を覗き込んだ。
すると、シズクからも表情が消える。
「今は、そう」
「俺も誘われた」
「そう。
どうするつもり?」
「彼らのしているコトには賛同できる。
まだウチの組織に残ってるヤツらまで解放してやれるってンだから、ありがたい話だってのもわかってる。
でも…
断るつもり。
で、シズクを拐って逃げるつもり」