その嘘に踊れ
うん。
いつも通りだね。
いつも彼女は冷静沈着だからね。
でも…
透き通る黒い瞳の奥に、いつも通りじゃない熱がこもっている気がする。
まるで、大切なナニカを懸命に掴み取ろうとするように。
君がナニを求めているのかはわからないけれど、その問いに返す嘘のない答えはたった一つだけ。
「そうだよ。
でもって、俺の天使だから。
コレ、大事」
アオは力が抜けた白い手を握り返し、囁くように言った。
そしてその細い指先に、
「だから、お願い。
そのままの君でいて」
ありったけの思いを込めた、くちづけを…
「好きだよ、シズク。
一緒に行こう?
これからはずっと、俺が君を守るから」
睫毛を伏せれば、また一粒の涙が頬を伝う。
男のくせにヒロイン属性とか恥ずかしいコトこの上ナシだケド、君が綺麗な涙だと言うのなら、きっとそうなンだろう。
いつだって君は俺を救う。
だから俺にも君を救わせて。
本当は傷だらけの君が、ただあどけなく笑っていられるように。
安心して眠れるように。
もう二度と、心を殺して戦わなくてすむように…
俺が君を、守るから。