その嘘に踊れ

投げられマシタネ。

スピーディーに、スマートに。
そりゃもう華麗に投げられマシタネ。

なろ抱きかーらーのー、一本背負いて…


「…


シズク…
俺のコト、好きって言った…?」


アオは屋上の床に大の字になって倒れたまま、さっきと全く同じ質問を再び口にした。

だがその声に、さっきのような甘さはない。

魂が抜かれたみたいに、虚ろ。


「…


言った…」


転がるアオの前に立ち尽くしたシズクも、さっきと全く同じ答えを再び口にした。

なら…


「…


なら、この仕打ちはナンデショウ…?」


「…


ごめん… でも…
ひでぶだから…」


ひでぶって、こう…心臓バーン、みたいな?
アオが近いと、いつもいつもひでぶなの
あの時も、あの時も、ひでぶだったの
目ン玉舐められた時は、ひでぶよりもまずなんかムカついて、アレだったケド…
頭ではわかってるンだよ?
少女漫画だって読んだコトあるンだよ?
でも… アレ、違うよね?
『胸キュン』なんかじゃなくて、『心臓ひでぶ』っていう一子相伝の暗殺拳だよね‥‥‥

とか、なんとかかんとか。

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