その嘘に踊れ

真っ赤になった顔を両手で覆ってしまったシズクが、小さな声でひでぶの危険性について訴え続ける。

読者の皆サマには既にお馴染みの、シズク的『スイーツ(笑)=殺しの手口』論なのだが…

アオにとっては寝耳に水。
ハニワ顔になっちゃって、もはやピクリとも動かない。

そんな彼を、指の隙間からチラっと見下ろして…


「でも、でも、大丈夫だから」


深く息を吐き出し、シズクは言う。


「覚悟は全てを凌駕する。
あらゆる危険をシミュレーションし、それに対する心構えをしておけば、怖れるコトなどなにもない。
覚悟はひでぶを凌駕する…」


睫毛を伏せて。
顔から離した両手を胸に当て。
自己暗示を繰り返し…

シズクは決意漲る黒い瞳をカっと見開いた。


「よし、来い」




ナニソレ、決闘!?

そんな気迫溢れるスイーツ(笑)待ちはイヤすぎる─────!!??

なーんて、男なら萎えちゃうモンだと思うンだケドね、うん。

今度はアオが真っ赤になった顔を両手で覆い、コンクリートの上をコロンコロンと転げ回って身悶えていた。

ハイ、ナゼでしょーか。


(だって…
ソレってつまり…)


彼女は、『トキメイテた』ってコトだろ?

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