その嘘に踊れ
面白い。
この方法なら、『Unnamed Children』に害は及ばない。
謎の巨大組織(←妄想)に対抗するために、手駒である『Unnamed Children』を切り捨てるコトはできないだろうし。
かと言って、敵の息がかかっているかも知れない『Unnamed Children』を内部抗争に使い、弱みを露呈するワケにもいかないだろうし。
なんだったら、規模をもっと大きくしてみてはどうだろう?
『Unnamed Children』を飼っている今活動中の大きな組織は、確かあと三つほど。
ソコからも手駒を引き抜いてやり、嘘で誘導して互いに互いの仕業だと思わせ、工作員たちを潰し合わせてやるのはどうだろう?
嘘に踊り狂って血を流しあう元凶を、踊らされていたはずのマリオネットたちが、笑いながら高みの見物。
本当に面白い…
「ね、ね、シズク?」
ニコニコと微笑み続けるシズクに、結んだザイルを引いて強度を確認していたアオが、心配そうに声をかけた。
「ナニ?」
「なんか… 変なコト考えてないよね?
参戦してやろうとか、考えてないよね?」
「そんなバカな」
「ならいいケド…
シズクはもう、危ないコトしちゃダメだからね?」
「わかってる。
私はごはんの支度なんかして、大人しくお留守番してる」
嫁か。
シズクの笑顔は、やはり変わらずあどけない。