その嘘に踊れ

『クローゼット』…

ソコはこだわりの宝庫だ。


「ねェ、アオ。
この白いワンピース、何着用意した?」


「ん?どーして?
気に入らない?」


「そうじゃないケド…
着替えても着替えても、このワンピースが出てくるから」


「うん。
だってソコのクローゼット、ズラっと全部そのワンピースだもん」


「ナニソレ、コワい」


「コワい?
可愛くない?」


「や、ワンピじゃなくて、アオが。
私はもっとカジュアルな…
例えばTシャツとスウェットでいいンだケド」


「いやいや。
ナイナイ。
あり得ません!」


「自分は着てるクセに、ナニがあり得ないンだか。
楽なのが一番じゃない」


「えー?
そのワンピだって、着てても楽でショ?」


「そりゃ、まぁ…」


「でショ?でショ?
ソレ、こっそり撮ったしーちゃんの画像を3D化して、実寸大の立体モデルを作って、あらゆる部分のサイズを測って仕立てた、オートクチュールなンだよー。
完璧だよネ?
着せた時に思ったンだケド、ユルくもなくキツくもなく、丈までジャストサイズだよネ!?」

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