その嘘に踊れ

「違う。
姫路城とか、そーゆー」


「え!?
日本の城なの!?
そりゃまた随分、地…渋い趣味だネー…」


「…
ハッキリ言えよ。
地味だって言えよぉぉぉぉぉ」


「いやいや、まさか。
日本の城、カッコイイヨネー?」


「うん。
緻密に組み上げられた石垣とか、たまらん」


「しーちゃん、しーちゃん?
渋いっつーか、オッサン化してるよ?」


「後、中津城とか、熊本城とか… 最近じゃ竹田城跡なんかも人気らしいケド、やっぱり一番美しいのは鶴ヶ城だと私は思う。
あ、1000ピース以上でよろしく」


「え?え?ナニ城とナニ城って?
てか、1000ピースはデカくない?
そんなにいっぱい作って飾ったら、すぐに壁が埋まっちゃうよ?」


「壁が埋まっても、天井がある!キリッ」


「…
正気の沙汰じゃねェ…」


「む。
じゃ、アオの趣味はなンなの?」


「もちろん、しーちゃん!キリッ
恋に落ちたあの日から、俺の趣味も、俺のオカズも、俺の幸せも、ぜーんぶ、しーちゃん!
俺、しーちゃんいないと生きてけないのー」


「…
正気の沙汰じゃねェ…」


もはやソレは、『趣味』とは言わない。

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