その嘘に踊れ
口の中でそっと呟いたアオは、唐突に、なんの前触れもなく、もちろんスイーツ(笑)シチュエーションもなしに、透子に顔を近づけた。
そして、不意討ちを食らってリアクションできない透子の、反射的に閉じられた瞼を指で押し上げて…
押し上げて…
…
「…
…
…
なんで今、目ン玉舐めた?」
と、透子。
「いやぁ、しーちゃんが可愛すぎて?
前のめりな愛を押さえきれずに、思わず?」
と、アオ。
って…
はぁぁぁぁぁ!!??
眼球舐めとか、ソレなんて変態プレイ!?
いったいコイツ、ナニやってンのぉぉぉぉぉ!?
「それで、なんで目ン玉舐めた?」
「や、フツーならね?
この場合、キスとか?
でもさ、意味のない行為で使い古した俺のキスなんて、なんの価値もナイからさ。
しーちゃんには、もっとこう…
神聖な、っつーの?」
「で、目ン玉舐めた?」
「うん!
俺の『初めて』を捧げてみました!」
捧げられてももて余すよ。
そんなマニアックな『初めて』はいらねェよ。
「アオも、かなりの自己完結型身勝手タイプだよね…」