その嘘に踊れ

ちっちゃい。
柔らかい。
イイ匂い。

そして、意外と力が強い。

薬で眠らせた彼女を抱き上げたコトはあったケド、よもや抱きしめてもらえる日が来るとは…

いやいや、コレはそーゆーアレじゃないから。
棚ボタ的なアレだから。

それをわかっていながらも、内臓はドコ行った?と言いたくなるほど細い腰を抱き寄せて。
雷鳴が轟く度に揺れる滑らかな黒髪を、優しく指で梳いて。

役得にニンマリしながらアオは言う。


「ヨシヨシ、大丈夫。
雷なんてコワくないよ?
しーちゃんには、俺がついてンだから」


「ぅぶぶぶぶぶ…
別にコワくないしィィィ…
ヘタレ扱いすんなしィィィ…」




ナニソレ、ぐうかわ。

震える声で強気な発言をしつつ、ますますギュウギュウ抱きついてくるとか…
もはや煽ってるとしか思えない。

もう抱き潰しちゃってもイイデスカ?

駄目デスカ?
ソーデスカ…

棚ボタ、嬉しいンだケド。

あんまり身体に良くねェわ。
欲求不満が溜まる一方だわ。

だが、このシチュエーションは悪くない。

暗闇で。
身を寄せあって。

甘い雰囲気の中、聞きたかったコトを聞けちゃうンじゃねーデスカぁぁぁぁぁ!?

そうと決まれば、即行動。

プルプル震える彼女を首にブラ下げたまま、紅茶がこぼれた床を掃除して、キャンドルなんかセッティングしちゃって…

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