その嘘に踊れ
「フフフ」
不意に聞こえた含み笑い。
気がつけば、ブツブツは消えていて。
項垂れていた透子の頭は、ガクリと仰け反っていて。
目が見開かれ、唇には不気味な笑みが…
呪いの第二段階デスカ。
惨劇の始まりデスカ。
あぁ…
弧を描く唇が、ゆっくりと開く…
「ヘタレは『おまえだよぉぉぉぉぉ!!』」
…
…
…
「…
コレは… アレ?
『ヘタレ扱いすンなし』からの、アレ?
壮大な仕返し的な、アレ?」
「フフっ
そーだ、バカ」
「…
芦原家の呪いは?」
「まるっと嘘だ、バカ」
「…
『好きだ、バカ』調でディスんないで。
無駄にキュンキュンするから」
「アホだ、ボケ」
「…
ほんとやめて。
原型留めてないのに、なんかキュンキュンするから…」
これが、嵐の夜に本当にあった、世にも気の毒なお話。