その嘘に踊れ
ヘタレ脱却計画は整った。
後は裸の天使(キューピーちゃんではない)に見惚れてしまわないよう、深呼吸、深呼吸…
覚悟を決めて頬を引き締め、アオは扉を開け放つ。
だが…
「あぁ、アオ。
どの棚って?」
「…」
「アオ?」
「…
…
…
ワンピース…」
洗面台の隣にあるサニタリーチェストを覗く透子を虚ろに見つめたまま、アオは呟いた。
うん、ワンピースだ。
彼女はいつものワンピースを着ている。
「…
しーちゃん…
お風呂、まだ入ってなかったの?」
「うん。
入る前に、シャンプーがないのに気づいたから」
「…
どーしてフツーに出てきて聞かなかったの?」
「『足錠ついてないとカ○マさんに片足取られるから、ココから勝手に出ないでまず呼んで』って大嘘ブっこいたのは、アオじゃない」
…
ハイ、ソーデシタ。
やっぱラッキースケベなんて存在しねーンだ。
コレが現実なンだ…