その嘘に踊れ
「歯磨き粉なんかはソッチだケド、ボトル物のストックはコッチ…」
中に入ってしゃがみ込んだアオは、洗面台の下にある収納棚の扉を開けた。
バリトンボイスにいつものハリがないケド。
気にしないで。
てか、ツッコまないで。
「うん、わかった。
ありがとう」
「どーいたしまして。
リンスもボディソープもあるから、どれでも好きに使ってくれて」
ぽふん…
『イイからね』
そう言い終わる前に。
振り返って透子を見上げようとしたアオの顔面が、ささやかだが柔らかいナニカに衝突した。
ナニ?コレ。
白い…シルク?
あ、ワンピースのドレープか。
そのちょっと上には、細い鎖骨が浮き出たデコルテがあって…
…
(ココでまさかのラッキースケベぇぇぇ!!??)
ソーデス。
『一緒に収納棚の中身を確認しようと身を屈めていた透子の胸に、振り向いたアオがダイブ』というラッキースケベが発生しマシタ☆
盛大に狼狽え、目の前にある控えめすぎる胸から遠ざかろうと、後退るものの…
ソコはもう、狭い洗面所ですから。
背中を思い切り洗面台にブツけたアオは、床にペタンと尻もちをついた。
ちょ…存在したよ、ラッキースケベ!?
コレが現実なのかぁぁぁぁぁ!!??