その嘘に踊れ
「しーちゃん?
ね、ね、しーちゃん?
ごめんね?」
「別に気にしてない(怒)」
「いやいや、怒ってる。
語尾が怒ってる。
ごめんってばぁぁぁぁぁ」
ベッドルーム。
風呂から上がって濡れた髪をドライヤーで乾かす透子に、アオはまとわりつく。
もう、ね。
男らしさとか皆無。
完全にただのヘタレ。
貧乳女子の呪い、恐るべし。
「眼球の水分含有量が増してる。
泣く?」
「泣く。
てか、既に泣いてマス…」
うん。
ヘタレってか、もはやチワワ。
耳を垂れ、尻尾を丸め、目を潤ませるチワワ…ではなく、アオに視線を送った透子は…
「ほんとにもう怒ってない。
アオもお風呂に入ってくるといい」
フっと目元を和ませた。
こーゆー切り替え…
普段はガキっぽさ全開だったりするクセに、たまに大人の女に変わるから彼女は始末が悪い。
からかわれてたの?俺。
そうと気づきながら、なんでちょっと嬉しいの?俺。
その辺りも全部、彼女の掌の上ってワケか。
敵わねェなぁ…
てか、たまンねェよな、おい。