その嘘に踊れ

ハイ、置いてきぼりのアオくんのために、関係者の証言をまとめましょう。

まずは金髪の証言。

シャワー後まったり寛いでいると、隣の部屋から絹を裂くような女の悲鳴が

慌てて玄関を出て隣室のインターホンを連打するが、応答ナシ

途切れることない悲鳴に意を決し、柵を乗り越えて隣のベランダに侵入

窓から中を覗くと、手錠でベッドに繋がれた少女が、テ○フォーマーに襲われてる!?

勇敢にも窓ガラスを割って中に入り、少女を助けようとするが…

やっぱテ○フォーマーは無理ィィィィィ!?

結果、戦場

次に黒髪の証言。

上の階から女の悲鳴が聞こえたが、関わりたくないのでスルー

さらにガラスの割れる音が聞こえたが、関わりたくないのでスルー

しばらくすると上階が戦場と化したようで、あまりの騒音にスルーできなくなった

重い腰を上げて苦情を言いに来ると、ドアを開けた金髪マッチョに部屋へ引きずり込まれ、ワケもわからないままテ○フォーマー退治を依頼された

が、ドコを探してもシューが見当たらない

仕方なくトイレのスリッパを武器に、ナゼか手錠に繋がれた少女と、その少女を身を呈して守る金髪の熱い声援を受けて戦うものの、敵は手強く、そして素早い…

最後に、関係者二人の証言。

やっとテ○フォーマーを倒したトコロで気づけば、部屋に一人増えている。

おまえはダレだ、と。

ハイ。
この部屋の借り主デスヨ。

銀の髪を掻き上げたアオは、ベッドに並んで座る、透子、金髪、黒髪の三人を見下ろし、マリアナ海溝よりも深い溜め息を吐いた。

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