その嘘に踊れ
「そうよ、そうよ。
どうしてアンタがこのコの学校なんて知ってるの?
知り合い?」
勝手にコーヒーカップを取ったデイジーが、オタくんにグイグイ詰め寄る。
いいぞ、いいぞ。
もっとやれ。
「や…
『ごきげんよう』って…」
勝手にコーヒーカップを取ったオタくんが、ボソボソと答える。
聞きづれェよ。
もっと腹から声を出せ。
「『ごきげんよう』?
確かに彼女、そう言ったケド。
ソレがなんなのよ?」
「だから…
お嬢サマかと…」
「そりゃ上品だケド、ただの挨拶じゃない。
そんなんでお嬢サマ学校に通ってるなんてわかるモン?」
「いや…
そう言ったのは、そもそも僕じゃなくて…」
「あら。
アンタこのコの知り合いの、知り合い?」
こーゆーグイグイくるタイプは、ウザい時は本当にウザいケド、重宝する時は本当───に重宝する。
今がまさにそう。
「いや… その…
ネットの掲示板で…」
アオと透子が訊ねるまでもなく、デイジーのマシンガン尋問を食らったオタくんは、どこまでもボソボソと真相を語ってくれた。