その嘘に踊れ

「そうよ、そうよ。
どうしてアンタがこのコの学校なんて知ってるの?
知り合い?」


勝手にコーヒーカップを取ったデイジーが、オタくんにグイグイ詰め寄る。

いいぞ、いいぞ。
もっとやれ。


「や…
『ごきげんよう』って…」


勝手にコーヒーカップを取ったオタくんが、ボソボソと答える。

聞きづれェよ。
もっと腹から声を出せ。


「『ごきげんよう』?
確かに彼女、そう言ったケド。
ソレがなんなのよ?」


「だから…
お嬢サマかと…」


「そりゃ上品だケド、ただの挨拶じゃない。
そんなんでお嬢サマ学校に通ってるなんてわかるモン?」


「いや…
そう言ったのは、そもそも僕じゃなくて…」


「あら。
アンタこのコの知り合いの、知り合い?」


こーゆーグイグイくるタイプは、ウザい時は本当にウザいケド、重宝する時は本当───に重宝する。

今がまさにそう。


「いや… その…
ネットの掲示板で…」


アオと透子が訊ねるまでもなく、デイジーのマシンガン尋問を食らったオタくんは、どこまでもボソボソと真相を語ってくれた。

< 91 / 291 >

この作品をシェア

pagetop