その嘘に踊れ
だってソレ、プレイでショ?と、透子の細い手首を飾る手錠を指差して、デイジーは言った。
そーだ、リア充死ね、と、オタくんは呪いの言葉を吐いた。
最初は通報案件かしらと思ったケド、仲良く抱っこでお茶する姿なんて見せつけられちゃあねェ、と、苦笑混じりにデイジーは言った。
そーだ、リア充爆ぜろ、と、オタくんは呪いの言葉を吐いた。
アンタみたいなイケメンがカレシなら、ストーカーも諦めざるを得ないし、透子ちゃんみたいな本命になりがち女がカノジョなら、アタシも諦めざるを得ないわー、と、大袈裟に肩を竦めてデイジーは言った。
そーだ、リア充もげろ、と、オタくんは呪いの言葉を吐いた。
『もげろ』て…
ナニ?
ナニがもげる呪いなの?
突き詰めて考えると、わりとまじで恐怖。
だが、コイツらはイイ奴らだ。
俺としーちゃんが恋人同士に見えるなんて、ほんとイイ奴らだ。
真実を映す澄んだ目を持つ、素晴らしいご近所サンたちだ。
邪険にして悪かったな。
もうちょっと美味しいコーヒー、淹れてやればよかったな。
深く深く反省して、アオは透子を膝から下ろして立ち上がった。
そして、素晴らしいご近所サンたちに向かって口を開く。
そう言えばコレが、アオが彼らに対して初めて発する言葉だ。
「もう帰れ。
…
後で、冷やしたスイカ切って持ってくから」
え?ツンデレ?
ソレもまた、誰得?