その嘘に踊れ
二人キリに戻った寝室。
割れた窓ガラスを手際よく片付けるアオを見つめて、再び透子は呟いた。
「『カノジョ』?」
あー… うん、ソコね。
やっぱ引っ掛かってるのね。
透子に背を向けたまま、アオは軽い調子で答える。
「そーゆーコトにしとかなきゃ、ややこしいでショ?
しーちゃんが俺の部屋のスプリンクラーを作動させて水浸しにしちゃって、しばらく同居しなきゃなンないなんて説明しても、少女マンガっぽくて信じてもらえそーにないし」
L○Kか。
「そんなスイーツ(笑)な事実はナイ。
アオこそ、デイジーさんに掘られてしまえばいいのに」
そんな致死毒だって、今なら平気だよ。
だって彼女は、否定しなかったンだから。
そりゃ、彼女にそーゆー願望があるなんて、勘違いはしてないケド。
空気を読んだとか、タイミングを逃したとか、そーゆー理由なのはわかってるケド。
それでも、俺の『カノジョ』だなんて言われて、否定しなかったンだから。
色々と急上昇。
この勢いで、サクっとするコトしなくちゃネ。
「いやいや、ムリムリ。
あの体格じゃ、俺のケツが流血の惨事じゃん。
さ、片付け終わったし、もっかい出掛けてくるね」
「また?ドコに?」
「シュー買ってくるの。
しーちゃんのために、害虫は駆除しなきゃね」