白い嘘
蒼真は、私の2歳上。


出会ったのは、小学生の頃。


小学校まで私の手を引っ張って行ってくれたことを覚えてる。


それから、ずっと側にいた大切な人。


付き合い始めたのは私が中学1年生、蒼真が中学3年生のとき。


卒業式の終わり。


桜が綺麗に咲いてた場所で。


それから蒼真は私の先をドンドン走っていって。


私もそれについていって。


気づいたら、蒼真と同じ高校を選んでた。


でも、それもすぐ終わって。


蒼真は大学を地元ではなく、少し遠いところを選んだ。


ある春の始め。


丁度、大学に行き始めた時。


急にいなくなった、蒼真。


連絡もプツリと途切れて。


何度も電話した、メールも送った。


でも、今までのが嘘みたいだったかのように返事は返ってこなかった。


暫くして、電話もメールも怖くなった。


寂しかった。


会えないのなら、


声を聞くだけで良かった。


でも


届かった想い。


会いたい。


好きって言いたい。


さよならも、何も言わずに姿を消して。


せめて、言葉くらい残してほしかったよ。


一人になったと。


孤独だと。


棄てられたんだと、思った。


心が傷付いた。


忘れようと思っても、できなかった。


戻ってくると、心の何処かで思ってたから。


でも、私なんて忘れたかのように返ってこない返事。


ふとした瞬間に、横に蒼真の存在を思い出したりして。


酷く虚しい気持ちになって。


蒼真が隣にいるのが、今までは当たり前だったのに。


今は、いないんだと。


あの幸せは、蒼真が隣に居たから出来た物なんだって。


蒼真が居ない右側は寂しくて。


無理矢理その背中を忘れようとした。


おはよう


ばいばい


ありがとう


ごめん


一緒にいれると思ってたのに。


蒼真の声だけが救いで。


蒼真が居なくなってからは、


一人で。


学校でも。


孤独だった。


忘れてしまえば、簡単だって分かってたのに。


やっぱり、想いは棄てられなくて。


会いたかった。

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