白い嘘
まだ私を支配する声たちは、頭の中でガンガンと響いて、痛い。


私は、あの人たちに何か悪いことをしたの?


あの頃は何も知らなかった。


ただ毎日が幸せだったのに。


柚木の幸せを奪ったなんて。


思ってもいなかった。


知らなかった。


なのに。


『あんたさー、柚木の彼氏とったんでしょ?最低だよねー。よくやったわ、そんなこと。マジで、くそ女。』


嫌なくらい明るい空が窓の外に見えた。


教室の中で私は、周りを知らない人達に囲まれて。


毒を吐かれる。


柚木、友達だと思ってたのに。


集団の真ん中にいる柚木に目をやる。


助けてくれると、その時願ったから。


『何、その目。うぜえんだけど。何?私のこと友達とか思ってた?バカじゃない?』


なんで………。


誰か助けて…。


頭、痛い。


暗い部屋の中で、クッションを頭に押し付けて耐える。


まだ、声は止まる気配を知らない。


『美歩ってさー可愛いからって調子に乗ってんじゃない?勿論、蒼真返してくれるよね?私のなんだからさ。』


痛い。


胸が痛かった。


押されて、倒れた時の傷口より。


ズキズキして。


あの時散々やられた傷口は消えたけど。


あの時言われた言葉はまだ私を苦しめてる。

< 15 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop