白い嘘
暑いな。


残暑だとしても、今日はやけに暑い。


中間服なんて着てこなければ良かった。


下がりつつあった裾を上げて、カバンを持ち直す。


遠くで微かに蝉が鳴いている。


まだ明るい空の下。


一人で家に向かう。


車たちが私を追い越して行く。


そこに、昨日の歩道橋の上が重なった。


ライトたちが照らした私たち。


蒼真の横顔。


風が吹く。


少しだけ冷たかった。


右側のスカートが風に合わせて揺れる。


今、隣に蒼真が居ないことを浮き彫りにさせるかのように思えた。


この前まで蒼真が帰ってくるなんて思いもしていなかったのに。


ただ、純粋に嬉しい。


会いたくて、


心が想うことが止めない。


昨日の歩道橋につく。


今日は


一人

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