白い嘘
肌寒く感じた朝。


いつもは捲り上げている裾を今日は下ろした。


久しぶりに着たベストはなんだか変な感じがして、落ち着かなかった。


朝のHR、担任の先生が喋っていた人たちを注意している声は、甲高く人と人の間を駆けていった。


今日の空はドンよりとした曇り空。


重く私に乗っかってくるけど、それは苦では無かった。


男子の小さな笑い声が近くで聞こえた。


なにが可笑しかったのかは分からなかった、分からなくても良かった。


「えー今日のお昼から2学期にかけて、このA棟が使えなくなりますのでー、えー私たち3組はC-203を使います。あと、放課後審議委員は講堂に集まってください。」


業務的で、感情がこもっていない声で、以上と先生が机を軽く叩いた。


あ、雨。


雫が小さな線を窓に描いた。


それの数は増えていく。

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