白い嘘
昼休み。


一人で教室を出る。


風は少し冷たくて、私の頬を射す様に強く吹いた。


ここからは、ベンチが遠い。


それでも、あそこが一番静かで気に入っている場所だからと歩を進める。


『好きです…』


嫌な声が頭の中で聞こえる。


それを振り払うように歩をさらに進める。


しばらくして、視界の先から黒い影が表れた。


「あ、すみませんね。ここから先は危ないので通らないでください。」


茶髪の背が高い工事の人が私に笑顔で言ってきた。


そのひとは、片方の手に′′安い,美味しい,叔母ぁちゃんの懐かしの味′′と書かれている袋をたくさんに持っていた。


「あ、はい。すみません。」


チラリとその人の後ろをみる。


そっと見えたベンチは陽が当たってて気持ち良さそうなのに。


肩を落としながら、成るべく人が居ないところを探そうとその人に背を向ける。

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