白い嘘
「蒼真…………」


影の先で笑いかけてきたのは、愛しい姿。


透き通るような声が耳に届く。


ライトたちに照らされたその笑顔。


「久しぶり」


トクン


懐かしい声が、心を震わせる。


楽しかった日々が瞳の奥に見えて。


心臓が甘く痛い。


それも、久しぶりに訪れたから余計に。


溢れてくる思い出たちが心臓の奥を震わせる。


「…久しぶり」


同じ言葉を口に出す。


それだけで。


幸せだと


想えた。

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