白い嘘
「本当に、久しぶり。元気にやってた?」
優しい笑顔が向けられる。
「うん…」
涙が零れ落ちないように堪える。
トクントクン
心臓の音が速い。
うるさいけど、耳障りじゃなくて。
この感覚も懐かしくて。
全部
全部
あの頃と変わらない。
「ごめんね、連絡取れなくて。」
困ったように笑う蒼真。
それも、嬉しくて。
私はうつ向き、自分の足下を見つめる。
私の体に架かってるのは蒼真の影で。
涙がポロリと一粒零れ堕ちた。
私の下のアスファルトが少し色を変える。
でも、すぐに元の色に戻って。
その間蒼真は何も言わなかった。
「今度からまたこっちに住むから。」
「…え?」
顔をあげると、嬉しそうな笑顔の蒼真。
ドキン
私の心の中を見透かしたような瞳で。
蒼真の瞳に私が写ってるのが見えた。
「相変わらず、だね。」
悲しそうな笑みを浮かべる蒼真。
ドキン
自分の心臓が煩い。
「な、何が?」
恐る恐る言葉を口に出す。
「…いや、なんでもないよ?」
からかうように、くるりと私に背を向けて歩き出す。
私もそれに続いて、歩く。
蒼真の背中、
おっきいな…。
懐かしい、な……。
好きだよ…。
ズキンズキン
心の中で呟いたそれだけなのに、想いが溢れて止まらない。
で
も、
それは
蒼真はもう私のこと好き、
じゃなくても、
同じだから。
変わらないから。
蒼真もそうだって言って欲しい。
前みたいに、好きって言って欲しい。
ズキンズキン
いまだに煩い心臓の音は、甘く私の体を包み込むかのように鳴っている。
でも、それも痛く鳴る。
もう
もう、何処にも行かないよね?
ねぇ
蒼真……
「隣、こないの?」
急に蒼真が振りかえってくる。
「えっ!?あ、うん。いく。」
歩を進める足を速めて、蒼真の隣に行く。
ふわりと蒼真の香りがする。
トクントクン
チラリと横を見る。
ドキン
蒼真も、こっちを見てて。
視線が絡み合うのが分かる。
ドクンドクン
大きく鳴る心臓の音と蒼真の香りだけが私を包み込む。
それが痛くて、でも、嬉しくて。
「ん?」
不思議そうに笑う蒼真。
わかってる癖に、ズルいよ。
ねぇ
蒼真…………
「なんでもない…」
小さく呟くと、やっぱり蒼真は嬉しそうに笑う。
それにつられて、小さく笑う。
急に蒼真が歩を止める。
私も、足を止める。
歩道橋の上。
風が少しだけ、強くなる。
私の髪をさらっていくように夏の夜の風が吹く。
五月蝿い車たちのライトが眩しい。
それでも、二人だけの世界に感じて。
優しい笑顔が向けられる。
「うん…」
涙が零れ落ちないように堪える。
トクントクン
心臓の音が速い。
うるさいけど、耳障りじゃなくて。
この感覚も懐かしくて。
全部
全部
あの頃と変わらない。
「ごめんね、連絡取れなくて。」
困ったように笑う蒼真。
それも、嬉しくて。
私はうつ向き、自分の足下を見つめる。
私の体に架かってるのは蒼真の影で。
涙がポロリと一粒零れ堕ちた。
私の下のアスファルトが少し色を変える。
でも、すぐに元の色に戻って。
その間蒼真は何も言わなかった。
「今度からまたこっちに住むから。」
「…え?」
顔をあげると、嬉しそうな笑顔の蒼真。
ドキン
私の心の中を見透かしたような瞳で。
蒼真の瞳に私が写ってるのが見えた。
「相変わらず、だね。」
悲しそうな笑みを浮かべる蒼真。
ドキン
自分の心臓が煩い。
「な、何が?」
恐る恐る言葉を口に出す。
「…いや、なんでもないよ?」
からかうように、くるりと私に背を向けて歩き出す。
私もそれに続いて、歩く。
蒼真の背中、
おっきいな…。
懐かしい、な……。
好きだよ…。
ズキンズキン
心の中で呟いたそれだけなのに、想いが溢れて止まらない。
で
も、
それは
蒼真はもう私のこと好き、
じゃなくても、
同じだから。
変わらないから。
蒼真もそうだって言って欲しい。
前みたいに、好きって言って欲しい。
ズキンズキン
いまだに煩い心臓の音は、甘く私の体を包み込むかのように鳴っている。
でも、それも痛く鳴る。
もう
もう、何処にも行かないよね?
ねぇ
蒼真……
「隣、こないの?」
急に蒼真が振りかえってくる。
「えっ!?あ、うん。いく。」
歩を進める足を速めて、蒼真の隣に行く。
ふわりと蒼真の香りがする。
トクントクン
チラリと横を見る。
ドキン
蒼真も、こっちを見てて。
視線が絡み合うのが分かる。
ドクンドクン
大きく鳴る心臓の音と蒼真の香りだけが私を包み込む。
それが痛くて、でも、嬉しくて。
「ん?」
不思議そうに笑う蒼真。
わかってる癖に、ズルいよ。
ねぇ
蒼真…………
「なんでもない…」
小さく呟くと、やっぱり蒼真は嬉しそうに笑う。
それにつられて、小さく笑う。
急に蒼真が歩を止める。
私も、足を止める。
歩道橋の上。
風が少しだけ、強くなる。
私の髪をさらっていくように夏の夜の風が吹く。
五月蝿い車たちのライトが眩しい。
それでも、二人だけの世界に感じて。