ノイジーマイノリティー
俺は
ピアノマンに目で合図を送る
そうして演奏を始めたのだった
丁寧に
彼女に伝わる様に
一音一音
丁寧に吹く
音に
強弱をもたせる
ピアノの音の上
愛情を込めて
落ちない様に
でも
伝わる様に
ピアノマンと目で合図を交わし
1曲目を丁寧に
仕上げることが出来た
終った時
それまで静かだった
客席から
沢山の拍手が送られてきた
見えないけど
客席の何処で
愛果が
拍手をくれた様な気がした
その夜のセッションは
こうして
成功した
三曲しか演奏しなかったけど
俺達が引っこんでも
拍手はしばらく続いた
楽屋に戻ると
次のグループが
楽屋の前で立って出番を待っていた
俺は彼らに挨拶をする
彼らがすれ違うときにこう言った
次やりづらいなぁ
盛り上げすぎですよ
顔は
本気で嫌がってない
仲間同士の軽い
会話だ
それでも
そんな言葉
それまで言われたことなかったから
すごく嬉しかったんだ