ノイジーマイノリティー
音楽に夢中になって
何年もそんな生活をして
そして彼女と知りあって
こんな生活も
悪くはないなと
思っていた時だった
あの
ピアノマンに誘われて行った
東京のライブハウス
いつものように
彼と二人で
お互いの大切な人を
思ってやった演奏
初めてのことが
起こった
そのライブを
プロモーターの人が
偶然見てたのだ
演奏が終わった楽屋まで
彼はわざわざ足を
運んでくれたのだった
いつものとおり
ライブの終った興奮で
楽しく会話をしていた
その時彼は現れた
俺達はただ演奏の話をしていた。
そこに現れた見知らぬ男性
しかも
こういう場所に似合わない
スーツのパンツに
薄いクリーム色のシャツ
ネクタイしてないから
まだいいかな
彼は挨拶をすると
自己紹介を始めた
そして彼が
今の俺の人生を変えた人物
プロモーターの人だったのだ
彼は
俺達の演奏を褒めてくれた
そして
自分たちに足りないものを指摘する
その的確さに
二人は呆れて言葉もなかった
「でも、僕と一緒にやると
もっとの演奏がうまくなるよ
どうかな」
そう言って笑った
俺はピアノマンと目を合わせた
そして一緒に次の瞬間
歓声を上げて
両手でハイタッチした
頂いた名刺には
有名な事務所の名前があったのだった。