ノイジーマイノリティー



彼女との時間はいつも



単純で



でも新鮮な発見で溢れていた






例えば



二人で歩く



夜の道



君のお気に入りの店で



食事をして帰る道



食事中も音楽のことしか



知らない俺にとって



彼女の



会社の話



友達の話



通勤の電車の中での出来事など



その一つ一つが



新鮮で



楽しかった




もっと彼女の話を聞いていたい



楽しかった食事の帰り道は



特に



もう少し



一緒にいたいと思ってしまう



そんなことを思いながら



街灯に照らされた



君の顔を見る




ワインでご機嫌な君は



ちょっと顔を赤く染め



幸せそうな目で



俺を見上げ



にっこりと微笑んだ



その笑顔は



安心しきっていて



そんな君を見られたことが



何故だが



俺を幸せにしていた



そしてその時



俺の心臓の鼓動が




軽やかなリズムを奏でる



その心地よさに



俺は胸を摘まれた気分だった



そこから甘く



美味しい蜜が滴り落ちる



その蜜が



胸に広がり



胸を詰らせた



その甘い



息苦しさから



俺は思わずには



いられなくなってしまった




君に触れてみたいと



俺は自然に



彼女の手へと



手を伸ばし



そして



そっと握りしめる



彼女の手に触れると



彼女が少し驚く



柔らかな小さな手



その感触に出逢った喜びと


温もりで



俺は自然に微笑んで



君を見つめたんだ






< 8 / 91 >

この作品をシェア

pagetop