蜂蜜ワルツ
ぽつりと落ちた言葉。
一言出れば、あとは簡単だった。
「ろ、廊下ですれ違って、無視されるのは寂しいです」
「……、」
「なにも、言わずに、出発は寂しいです」
「……」
次から次へと溢れ出す。
「い、一緒に、帰ってるのに、ずっと無言は寂しいです」
「……」
あ、駄目だよ、そんなこと言ったら。
だってわたし、知ってるのに。
「ほ、本当に付き合ってるのか、よく分からないです」
言っちゃった、とすぐさま後悔した。
でも、出てしまった言葉を引っ込めることは出来なくて。
ただ俯いて、自分のつま先を見つめる。