蜂蜜ワルツ
「……うん、それで?」
しばらくの沈黙のあと、降ってきた低い声。
予想と反して優しく聞こえた声に、もう一度言葉が滑り出した。
「ほ、本当は、」
「……うん」
本当は。
「もっと、もっと、服部くんとしゃべりたい、し」
「……うん」
服部くんが。
いつも車道側を歩いてくれていること。
いつも歩調を合わせてくれていること。
「もっと、もっと、服部くんのことを知りたい、し」
「……うん、」
わたしが立ち止まれば、すぐに気付いてくれるくらい、わたしを気にしてくれていること。
さりげなく優しくて、不器用なこと。
「もっと、もっと、……もっと、服部くんといたい」