蜂蜜ワルツ
trois
「顔、だらしないよ」
「……っ、わ!」
ほっぺたをつままれた。
それに驚いて顔を上げると、ミホちゃんが眉間に皺を寄せていた。
「わ、ミホちゃん……」
「ぼーっとしすぎ。なに、いいことでもあった?」
離された両頬をさすりながら、ミホちゃんの言葉をゆっくりと考えてみる。
いや、考えなくても、その理由は明らかだった。
自然と緩んでいく口元。
「……うん、あったよ」
頷くだけでも、ちょっと恥ずかしい。
だけど、ミホちゃんが
「思いっきり顔に書いてあるね」
と笑うから、結局両手で顔を覆う羽目になった。