蜂蜜ワルツ
普段から無口で、ちょっと近寄りがたい雰囲気の彼は、友達といてもそうみたいで。
たまに頷いてるけど、自分から話している感じではなかった。
「……っ、」
よくよくミホちゃんを見れば、それはそれは楽しそうな笑みを口元に浮かべている。
絶対、面白がってるんだ。
その証拠に、さっき肘で小突いてきたもん。
気付かれないように、そっと息を吐く。
姿を見ただけでこんなに動悸がするなんて、どうかしてる。
「はは、それはねーわ」
「だよなー」
どんどん近付いてくる男の子の集団。
教科書とノートを、ぎゅっと抱く。
俯いて、ただすれ違うのを待っていた。
なのに。