中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました



……彼との関係に名前を付けるのなら、なんてつけることが正解なのだろう。
私はこの人に好意は寄せているけれど、告白するほど好きかと言われたらそうではないし、真塩さんに至ってはただ癒しを求めているだけだ。
でも、社内でエリートと呼ばれている彼が、猫のように首にすり寄って、落ち着く、と呟いてくれるのは、全く悪い気はしない。むしろ、優越感に浸れる。

「……真塩さん、夕飯はちゃんと食べたんですか」
「そういや食べてない、忘れてた」
「忘れるって、どういうことですか……」
「家に帰れば紫水がいるって思ったら、そのことで頭がいっぱいだったんだ」

……こんなにも計算高いことをさらっと言ってのける潔癖な彼に、唯一触れる権限を持っている私。
何も長所は無いし、自慢できる資格もない平凡な女だけど、今、とんでもなく心地よい優越感を手に入れた。


〝真塩 裕貴〟という名の、麻薬のような、優越感を。




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