中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました

それから私は、真塩さんとプライベートで会うことを一切拒否した。

『やっぱりこういうの、あまりよくないと思います。普通の先輩後輩に戻りたいです』。

私が彼に送った最後のメッセージだ。真塩さんから返事は来ることはなく、代わりに一度着信が入っていた。その時お風呂に入っていた私は出ることができなくて、またかかってくることを待っていたが、それきり着信はなかった。

私から折り返すべきだったんだろうけど、私は折り返さずに試したかったのかもしれない。彼のことを。

真塩さんがどれだけ私に執着しているのかを、最後に知りたかったのかもしれない。


* * *

「鹿肉って美味しいんですね……知らなかったです」
「思ったよりクセが無くて食べやすいよな。ジビエって聞くと抵抗ある人は多いかもだけど」
「新しい発見です……元々馬刺しとかは大好きなので……」

隠れ家的なジビエ料理店で、鹿肉のローストを頬張りながら、私はその美味しさに感動しきって目を輝かせていた。
身が締まっていて、さっぱりしているのに食べ応えがあって美味しい。自分一人では絶対に来ないお店に連れてきてもらったことを、私は素直に嬉しく思っていた。

そんな私を見て、轟さんは静かに笑った。
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