中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
どうして伝わらない
私は、本当に不器用だから、同時に沢山の物事を考えることは苦手で、最終的に逃げたくなってしまう所がある。

今だって、真塩さんのことも、轟さんのことも、最初からなかったことになればいいとさえ思ってしまっている。

私は本当に適当で、最低な人間だ。
つくづく、恋愛には向いていない性格をしていると、実感する。

トラウマ、なんて言ったら大げさに聞こえるだろうけど、私は元彼との恋愛以来、傷つくことが怖くてかなり臆病になってしまったのかもしれない。

でも、傷つくことを恐れるのは、そんなに悪いことだろうか。
自分を守るためには、時には必要なことなんじゃないだろうか。

「紫水、おはよう」
「轟さん、おはようございます」
「今日も雨だなあー、うんざりするよ」

ロビーのエレベーター前で、轟さんと鉢合わせた。こうして二人になるのは、この間のジビエ料理店での食事以来だ。
あれから私は轟さんに何も言われていないし、私もそのことについて全く触れていない。
エレベーターが到着すると、私はすぐに乗り込み、「開」のボタンを押した。

「あー待って、待って」
轟さんが乗ったのを確認して閉めようとすると、ギリギリで誰かが乗り込んできたので、私は慌てて扉を開けた。


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