中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
エレベーターが編集部に到着し、真塩さんが出て行っても、私は暫くその場から動くことができなかった。
避けても逃げても考えないようにしても、無駄だったんだ。
彼と目を合わせただけで、一瞬で彼を意識してしまっていたあの頃の自分に、戻ってしまった。
彼に触れられたい、という中毒的な願望が、またふつふつと湧き上がって行くのを、エレベーターの個室の中で感じていた。
彼に触れられた手の甲に残った体温が、感触が、消えることは無かった。
* * *
『なんかいまいち盛り上がんないんだよなー』
あれは、社会人になって一年目……今から三年前のことだった。
当時付き合っていた彼氏が、休憩室で私に対する不満を言っていたのを、聞いてしまったのだ。
彼は、同じ部署のエンジニアだった。仕事に対してストイックなところにまんまと惚れて付き合ったが、セックスをして以降あまり関係が上手くいかなくなった。そのことはヒシヒシと感じていたが、かといって自分からそのことを言い出せず、私はただ、耐えることしかできなかった。
盛り上がらない、という言葉を聞いてしまってから、私はセックスの度に変に緊張するようになってしまい、吐くほど気持ち悪くなることが続いてしまった。どうすれば彼が喜んでくれるのか、どう演技すれば彼は満足行くのか……そんな悩みがどんどん心を蝕んでいき、私は暫くセックスができなくなってしまったんだ。