中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました

当然彼は益々愛想を尽かし、私の元から離れて行った。理由も聞かずに離れて行った。セックスができなくなった私には、もう用がなかったのが。そんな風に思ってしまうほど、あっさりした別れだった。

私はもう、あんな思いはごめんだ。
恋愛で傷つくなんて、こんなにみじめで馬鹿馬鹿しいことはない。

だからもう恋愛に期待はしたくないし、心を掻き乱されたりもしたくない。

そう思って、三年間仕事に没頭してきた。

* * *

「……え、ゲームの部署に、ですか」
「サイトに、美容品や髪型のシミュレーションができるサービスを組み込むことになってね。ぜひ色々とノウハウを聞きたいんだ。以前ディレクターだった紫水と一緒に話を聞けば、もっとスムーズに進むと思ってね」
轟さんは、資料を眺めながら、戸惑っている私に淡々と説明した。
「わ、私なんかがお役に立てるか分かりませんが、それでも宜しければ……」
「助かるよ。今日の午後、わざわざ編集部に直接来てくれるらしい。こっちのデータや資料を見ながら話をしたいからって」
「因みにどなたがいらっしゃるのですか?」
「エンジニアの横谷君だよ。確か君の二つ先輩だったかな」
「え、横谷さんなんですか」
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