中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました

もうこの怒りをどうしたらいいのかわからない。

誰か助けてよ。誰かこいつを殴ってよ。お願いだから、今すぐこいつを消してよ。

「……俺の後輩に何してんの?」

目をぎゅっと瞑って怒りに震えていると、突如上から冷徹な声が降ってきた。
驚きすぐに顔を上げると、私と横谷さんの間に割って入るように、真塩さんがテーブルに手をついていた。

横谷さんは、少し目を見開いて、私と同じように真塩さんを見つめている。

「今何言ったんだよ、こいつに。こんな顔させるほど」

真塩さんのこんなに怖い声、聞いたことがない。背中を向けられているから表情はわからないけれど、私が想像する以上に怖い顔をしているんだろう。

……さっきまでの手の震えがだんだんと治まり、安心して逆に涙が出そうになってしまった。

「……仕事の話で、少し詰め過ぎただけですよ」
「こいつは今俺の部署の後輩だ。お前に説教される筋合いは無いし、話するなら今後俺を通せよ」
横谷さんは、一度ぐっと唇を噛んで、睨むように真塩さんを見上げた。
「……あ? なんだその顔、文句あんなら言えよ。轟さんがいなくなった瞬間こんな顔にさせるまで説教した理由を話せるなら話せよ。俺の怒りを鎮める正当な理由を聞かせてみろよ、今ここで」
「真塩さんっ、もういいですよ!」
「何もよくないだろっ」
……真塩さんの瞳は、少し赤くなっていた。私のために、こんなに本気になって怒ってくれたことに、私は一瞬本気で驚いてしまった。それは横谷さんも同じなようで、目を丸くして真塩さんのことを見上げていた。


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