中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
そもそも俺は紫水のことが好きなのか。まずそこから俺自身もグレーなのだ。そして紫水は俺のことをどう思っているのか。そこもまたグレーなゾーンで、全てが曖昧な状況だ。
まずは紫水と二人で話さないと何も始まらないのだが、紫水がここ最近俺を避けているから近づくことすらできない。連絡ももう取りたくないというメールも来た。
こうして、どんどん日が空いて連絡が取れなくなり、更に仕事に飲まれて、段々と気持ちが薄れて行くのだろう。
どうしたものか……と、考えあぐねながらタイピングをしていると、私用のスマホがスラックスのポケットの中で震えた。
画面には、驚くほど懐かしい名前が表示されていて、俺は思わず固まった。
『もう、別れたってことで、いいんですよね』。
ぽつりと一言だけ、届いたメッセージ。それは、自然消滅したはずの、元カノからだった。
その一言を見て、俺はとんでもない罪悪感に襲われた。
ああ、俺は、この子にずっと辛い思いをさせていたんだ。
曖昧な立場に置かれる辛さを、俺は何も知らなかったんだ。
……轟さんの言う通りだ。俺はなんて、残酷で冷酷な人間なんだろう。人の気持ちを考えられない、幼稚な人間なんだろう。
紫水にも、こんな思いを、させていたんだろうか。
……謝ろう。謝って済む問題ではないのは分かっている。だけど、ちゃんと話をしなければならない。もう、曖昧な状況のまま流すことは、やめよう。
俺は、元カノに謝罪のメールを送ってから、紫水のトーク画面を久々に開いた。