中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
流れでもう一度キスをしようとすると、ぐっとおでこを押されて離された。
そのことに少し落ち込んでいると、彼女は気まずそうにぼそっと呟いた。
「……あの、私実は明日誕生日なんです」
「え、 もっと早く言えよ」
「今、ひとつだけ、わがまま聞いてもらってもいいですか……?」
「いいよ、俺ができることなら」
何をお願いされるのか、少しドギマギしながら待っていると、紫水は少し顔を赤らめながら、口を開いた。
「もう一回、ちゃんと好きって言ってもらっていいですか。実はさっきびっくりし過ぎて、と、飛んじゃったんで……」
……なんて、とんでもなく可愛いわがままだ。
可愛すぎて死ぬかと思った、と思わず呟くと、紫水は俺の頭を軽く叩いた。
俺はその手をぐっと優しく掴んで、自分の首に回した。
それから、唇が触れるか触れないかの距離で、同じようにお願いした。
「……俺にも、ちゃんと言ってもらっていいですか」
そう言うと、紫水は一度言葉を飲んでから、ちゅっと軽いキスをしてきた。
「……真塩さんが好きです……、もう、降参です」
「……うわー、なんだその告白の可愛さ信じられない……このまま死ぬのか俺は……」
「いやいや、死なれたら困りますよっ」
思わず頭を抱えるほどの威力だったが、俺はなんとか理性を保って、紫水の顎を掴んでキスをした。
今まで何度もキスをしてきたけど、一番気持ちのいいキスに感じた。
「好きだよ、奈々」
人の体温が無理だった。
人の匂いが無理だった。
人の肌が無理だった。
でも、今、紫水を心から愛していると、それを認めてから感じる体温や匂いや肌は、とてつもなく幸せな気持ちにさせてくれた。
好きな人に触れるって、こんなに幸せなことだったんだ。