中毒性アリ!?副編集長に手なずけられました
「……じゃあ行くか」
「うん、運転よろしく……あれ」
鏡を取り出そうとして、クラッチバッグを開けると、中に見覚えのない白い封筒が入っていた。……いや、これは封筒じゃない。ご祝儀だ。
そこには、長谷川史子の名前が書かれていた。
「史子……」
私がお化粧室に行った間に、忍ばせておいたのだろうか。思わぬサプライズに感動してしまい、涙腺が緩んでしまった。
そんな私を見て、真塩さんはエンジンを一度止めた。
「後でちゃんと二人でお礼を言いに行こう。史子ちゃんの旦那さんも見てみたいし」
「そうだね、絶対行こう……」
ずっと鼻を啜ると、真塩さんがくっと喉で笑ってから、私の目尻に溜まった涙を拭った。
「私、幸せだな……」
呼吸をするように、その一言が口からこぼれ落ちた。
すると、彼は私の頭を抱え込むようにして引き寄せ、髪にキスをした。
「俺も幸せだよ」
その笑顔が、あまりにも優しかったので、拭ってもらったはずの涙がまた溢れ出てしまった。
そんな私を見て、彼は今度は盛大に笑った。
それから、どちらともなく軽いキスをした。
「案外泣き虫なんだな」
彼の指が、私の頬を丁寧に撫でる。
茶化すように笑う彼の優しい瞳を、一番そばで見られることの幸せを、私はひしひしと噛み締めていた。