今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
Prologue
目を開けるとそこは火の海化したどこかの建物の中のようだった。
目の前も右も左も火で覆いつくされた建物の中、かろうじて私の背後は壁、私は壁にもたれかかりながらその悲惨な光景を目の当たりにする。
『あつい………あつい……苦しい……雪……あつい……苦しい……助けて………』
私の右から床に這いつくばり、私の元に寄ってくる一人の血だらけの女性。
その人に目を向けると、腕から指にかけて血を流している、その手で私の足首を掴んだ。
咄嗟のことで足を振り払いたかったのに、私の足は動かない。
『………あつい………雪………』
その言葉を最後に血だらけの女性は二度と顔を上げることはなかった。
『………なに………なによ……』
状況がいまいち把握出来ていない私は周りの悲惨な光景に恐怖を感じ、震えだす体をなんとか動かし、その場を離れようとする。
なんとか掴まれた足首を開放させ、私は壁伝いに火がまだ回っていない方へと歩き出す。
どこを見ても火。
どこを見ても体中から真っ赤な血を流しながら倒れている人、なかには足がない体でなんとか上半身だけでも火から逃れようと床を這う人の姿もあった。
『………なによ……なに………なんなの………』
私が動く度に建物の中の造りは変わるくせに、目に入る光景だけは変わらない。
どこからも悲痛な叫びは聞こえ、そこら中、人間の腕と思われるものや足だと思われるものばかりで私は何度もそれらに足を取られていた。
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