今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『………我々神経内科の医師は、日々、この病気について研究していますので』
そう、医師は俺に言った。
『日々研究してるなら、俺の腕を治してよ…!
俺からバスケを取ったら何も残らない……!
頼むから、俺からバスケを奪わないでくれよ……』
『………まだ有効的な研究結果がないんだ。
でも私はこの研究を諦めないから、結城君はこの病気をまずは認めてほしい……』
認める……?
認めて、どうすんだよ?
治らないのに、治る保証なんてないくせに。
認めて、もうバスケが出来ないと思い知れと?
『………俺、今度の試合、一年なのにスタメンもらったんだよ…。
先輩からもお前が入れば次の試合だって勝てる……そう言われて………』
俺の言葉に父親の力が緩んだ。
俺は父親から解放されるも、その場から動けない。
さっきみたく医師に飛びかかる元気なんてない…。
『この病気はまず、自分が認めること。
そして家族を始め、周りの人に知ってもらうこと。
それが、大事なことなんだ。
私も主治医として、君と頑張るから。
認めたくないかもしれないけど、現実を、病気を受け止めてほしい……』
その後のことはよく覚えていない。
その診察の後、上げずらい腕が更に上がらなくなった。
そのせいで確か、バスケ部は退部した気がする。