今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
バスケを退部した日から、俺の毎日が変わった。
『なぁ、清也!中庭でバスケしようぜ!』
同じクラスで、バスケ部の信也が俺を誘う。
いつもなら当たり前のように、中庭に向かって走ってた。
大好きなバスケにバカみたく夢中になれた、でも今は…
『……やらねーよ』
机に突っ伏しながら、俺は信也の誘いを断る。
『なぁ、清也、お前なんかあったの?
バスケ部を突然やめちまうし…てか先輩とかも驚いてたぞ。
スタメン入りしたのになんで辞めちゃうんだって』
コーチにも顧問にもキャプテンにも“体の都合で難しい”としか言わなかった。
具体的な病名を出す勇気がなかった。
それを言う度に、俺は筋委縮性側索硬化症を認めなきゃいけないみたいで、言うのが嫌だったんだ。
『………関係ないだろ!』
俺は椅子から立ち上がると、そのまま教室を飛び出していく。
『あ、おい!清也!?』
背後からはそんな信也の声が聞こえたけど、俺は振り向くこともしない。